
Title:花慰獣
Material:ミクストメディア、花
Size:H660 × W400 × D450 mm
私の記憶に残るMONSTERの印象的な場面は、フランケンシュタインの怪物が花を手にする瞬間です。あの場面は、恐怖の象徴であった“怪物”に、純粋さや孤独といった人間らしい感情を重ね合わせるきっかけを与えてくれました。
花慰獣(かいじゅう)は、記憶の欠片を集め生み出したMONSTERです。
手にしている花は、MONSTERにとって慰めであり、孤独の中に差し込むわずかな光でもあります。異形と美、恐怖とやさしさ——相反する二つの存在を並べることで、恐ろしさの中に潜む哀しみや優しさを表現しました。
花を抱くMONSTERの姿は、他者の姿であると同時に、私たち一人ひとりの心に眠る普遍的な記憶を映し出しています。

Artist:加藤 真紀 Maki Kato
目に見えない存在――精霊や妖怪、妖精などをモチーフに、空想の世界にひっそりと息づく民族をイメージしたぬいぐるみを制作しています。やわらかな質感の奥には、少しダークで不思議な気配が潜みます。ひとつひとつの作品にはユニークな奇譚が宿り、見えない世界と現実とのあわいを形にすることをテーマに、幻想的な造形表現を探求しています。
Instagram : https://www.instagram.com/mudpot_works/