森 拓実

DISTRICT∝S^-2

指数関数に基づく変化を正確に直感することは難しい。

ある日突然急増したかに見えて「爆発的」などと報じられる。
得体の知れないものがすぐ隣で、鎌首をもたげている。

250mm x 250mmの4つのキャンバスをDISTRICT:区域と定め、それぞれScale:縮尺の異なる実寸上同一寸法のグリッドを敷設する。
実寸上約6.4㎡の正方形区画を占有しながらグリッドに従って配置される1m x 2mの単位矩形の、見かけの大きさと個数によって、縮尺変化と面積変化が同時に明示される。
これにより、縮尺を線形変化させたときの区域内の面積変化:逆2乗比例を具体的に視覚化する。

なにか恐ろしげなもの、理解を超えたものを”Kaiju”(MONSTER)とするならば、私は冪乗増加という現象の中にそれを見るような思いがする。にわかには表現し難い現象に、形を与えて観察してみたい。
そこから例えば希望を見出すこともまた観覧者の自由であるし、この作品に託すところだ。

(2021年5月10日付企画書から抜粋)

Title:DISTRICT∝S-2

Material:スチレンボード、アクリル板

Artist:森 拓実 Takumi Mori

1988年生まれ
大学院で建築学を専攻
2021年現在、静岡県浜松市内の建築設計事務所に勤務

MONSTER EXHIBITION2020 入賞:『狭小弐面接道勾配結合体(幼生群)』
インテリアデザインコンテスト2020 入選:『hanare – te – tsunagu』(共同制作)
静岡県「新しい県立図書館」アイデアコンペ 優秀賞(2021年):『書棚に、読点を、』

Web:https://member.evolve.or.jp/biography/takumimori/