Title:朲
Material:陶土、釉薬、鬼板、金属
「植物性器官」とは、消化器官、生殖器官など、植物性機能を司る器官のことをいう。「植物状態」とは、生命維持ができるが、大脳の働きが失われて意識が戻らない状態のことをいう。
人間は「植物性」を持っている。
我々は夜の睡眠においては、植物のごとく意志に支配されずに宇宙のリズムを体感している。また、我々は植物のごとく光を感じる。ただ、今の私たちは人工的な光を手に入れることで、「葉」を閉じることや開くことを自由にコントロールできるようになったが、植物性が退化してきた。
人間元々の在り方は、流転している昼夜、四季に生を委ねる植物に似ているのではあるまいか。植物のような美しい人間に対して、憧れを抱きながら、「植物」と「人間」の間という仮想の生命形態を具象化する試みをした。
その日常ではありえない「怪獣」のような仮想生物を見て、まさにだんだん自然から離れてきた我々現代人の方が「怪獣」ともっと似通うと言えるだろうか。
Artist:鄭 天雨 Tianyu Zheng
自然、命、人間からインスピレーションを得て、スピリットが宿るような神秘的で静寂な世界を表現することで、原始的な宗教感覚を感じさせ、人々の生命記憶を喚起しようと思う。
1996 中国浙江省杭州市 生まれ
2014 中国美術学院附属高校 卒業
2018 中国美術学院 陶磁器専攻 卒業
中国美術学院卒業制作林風眠賞 銀賞
留学生として渡日
2020 京都市立芸術大学第31回留学生展 出展
2021 合同陶芸展 出展
滋賀県立陶芸の森 アーティストインレジデンス 滞在制作
2022 京都市立芸術大学 大学院美術研究科修士課程工芸専攻陶磁器 修了