Savage in the Mirror
ミラー、ビーズ、スパンコール、糸
2019年、北海道でヒグマの駆除をめぐる問題が浮上しました。なぜ駆除をする?共存できないのか?人間の方がよっぽど危険ではないのか?世界中の破壊行為や絶滅現象を見ると、そう思わざるを得ません。ヒグマは北海道のアイヌの人々から山の神として崇められていました。しかし今は駆除の対象になっている単なる動物。でも視点をひっくり返してみると人間以外で自然を破壊し、戦争でお互いに傷つけあう生物はいません。人間は自分本位で身勝手な都合を優先させ、社会と自然に多大な影響を及ぼしています。今こそ鏡に映る自身の姿を見つめ、人間としての自分の行動を疑問に思い、内省する必要があるのではないでしょうか?作品に散りばめられた鏡を覗いてみてください。そこにはどのような人間が写っていますか?
構想を練り始めた時、社会問題をテーマに取り扱い、見る人が前に立って完成するインタラクティブなものを作りたいと考えました。作品のキーワードが反省を意味する「Look at yourself」なので、自分の姿を映すことが可能な素材としてミラーを採用しました。小さくカットされたミラーを装飾に使うのはインドの民族衣装などで見られますが、今回は小さいミラーを集めて自己対峙をするための鏡を刺繍しました。中心の鏡の部分を四方に囲んでいるフレームのデザインはアイヌ民族が山の神と呼でいるヒグマをモチーフにしています。このデザインは人間と自然がバランスを保って共存していた過去との繋がりを象徴します。背景には全体に動きと宗教美術的な神々しさを与えるために放射状の光線を金糸と銀糸で刺繍しました。
小川エドワーズ乃亜 Noah Edwards Ogawa
1994 札幌生まれ。
2008 中学の頃から服飾を学ぶ。
2013 自身初の服飾展示会『小川乃亜〜始〜』をギャラリーRetaraにて開催。
2015 オートクチュール刺繍学校Les Beaux Arts du Filにてクレア・リオッタに師事。
2018 『Noah E. Ogawa オートクチュール刺繍展』をギャラリーオマージュにて開催。
2019 Monster Exhibtion 2019で『I.C.U.』 が8位入賞。渋谷とパリで展示。
2019 DELIRIUM渋谷ヒカリエ展参加。
2020 AJCクリエイターズコンテスト大賞受賞。
https://www.instagram.com/neosaembroidery/