ハラワタ
毛糸、綿
ハラワタが煮えくりかえっている時に、小腸を編むと落ち着いた。複雑に色が絡み合った手染めの毛糸を使い、細編み長編みピコット玉編み松編み引き抜き編みなんでも思いつくまま編んだ。編み小腸は私の憤懣を消化して美しく伸びていった。
みぞおちがキリキリと痛むときに胃を編んだ。ストレスという名の酸が穴を開けている音がしていた。酸は黄色い。
心臓に心は存在するのだろうか。体の中のポンプはまだ一度も止まったことがない。毎日毎日濁った血液を迎え入れ新しい血液を送り出している。感情など無いように淡々と。
ハラワタは毎日働いている。
外部からものを受け入れ、形を変え、循環させ、利用して、捨てている。
引きずり出すと使えなくなるから、いつも一緒にいるのに想像するしかない。
私のハラワタはどんな形？どんな色？なにを思って、どう生きている？
己のハラワタを感じながら編んだあみぐるみの実体と、それぞれのハラワタに関する物語を並行制作した。
物語を読んで実体を感じ、実体を眺めてまた物語を読んで欲しい。
https://note.mu/rurikakesu/m/md45f5fed6bba
ぽぽぽ本舗 Popopop Hompo
あみぐるみ作家。かぎ針編み講師。
海洋生物などを中心に制作、イベント等で販売している。
動物園水族館向けマスコット商品「amis（アミーズ）」シリーズを（株）イシワタより発売中。企画、デザイン、監修。
2016年、第40回日本ホビー大賞ユニーク賞。
2017年、MONSTER Exhibition 2017（渋谷、N.Y.）出展。
2018年、AJCクリエイターズコンテスト2018入選。
2018年、映画「あのコの、トリコ。」劇中でamis（アミーズ）レッサーパンダが重要な小物として使用される。