NEWBONE

Title:unnatural

Material:頭蓋骨(鹿)、紙粘土、アクリル、ペンキ、スプレー、ニス、箔、ドライフラワー、新聞紙、鹿革

コロナによって、世界は一変し、多くの人々が「非業の死」を遂げました。

2021年8月。
私たち家族もコロナウイルス(デルタ株)のクラスター感染により、初めて「死」を身近に感じました。

私と妹は高熱と頭痛、失ってしまった嗅覚に悩まされ、母は1ヶ月以上も長引く熱と倦怠感、父は基礎疾患による悪化で入院…幸い、死に至ることはなかったですが、いつも通りの日々に戻るために長い時間がかかりました。

今まで、鹿は神の使いとして保護され、乱獲による個体数の減少のため、1980年頃までは捕獲規制もありました。しかし、昨今では、捕獲規制によって増え過ぎた個体が獣害(森林破壊や農作物の被害)を引き起こしているため、猟師たちによって駆除され「非業の死」を遂げています。

「今まで通り」が通用しない世の中で、「全てのことは当たり前じゃない」「非業の死に対する祈り」をコンセプトにすることにしました。

人と鹿が狩猟のタイミングで出会い、お互いの思いが交錯する様をマーブル模様で表現した作品「流動」。
固定観念を捨てるという意味で、本来固いはずであるツノや頭蓋骨がとろけた状態の作品「溶解」。
本来の骨の白い色からはかけ離れた金色の作品「El Dorado」。
家族がクラスター感染したコロナ禍で、「情報を調べる」か「祈る」しか出来なかった無力さを表現した作品「Helplessness」。
花をたむけて供養をイメージした作品「供花」。
喪服をイメージして真っ黒に塗りつぶした作品「喪」。

それらを組み合わせて一つの作品にしました。

全て本物の鹿の頭蓋骨を使用していますが、「骨は白くて硬いもの」というのが当たり前ではないことを物語るような加工をして、とても不自然な作品になっています。
一つ一つの頭は固定されておらず、展示のたびに不自然で歪なピラミッド状に積み上げられます。

そのピラミッドは鹿の頭一つ一つに生命があったことを考えさせてくれます。
その様は、神々しくもあり、禍々しいとも言えます。
この作品を通して、非業の死(害獣駆除)の上に成り立っている人間の生活が当たり前じゃないことを感じ、祈りを捧げてほしいです。
そして、自分たちの「全てのことは当たり前じゃないこと」や「命」についても考えてみてほしいです。

Artist:NEWBONE

「新しく生みだす(新生)=newborn」と「骨=bone」を組み合わせた造語である。

1992年 広島県広島市生まれ

幼少期:宮島で神の使いである鹿をよく目にし、触れ合う。
1年に1度生え変わる生命力や神秘的なフォルムに魅力を感じ、鹿のツノに強い憧れを抱く。

青年期:猟師の親戚に害獣として駆除された鹿が「鹿肉」として食卓にだされる。

壮年期:憧れだった鹿のツノを手に入れ、自宅に飾る。
手に入れる際に猟師から、害獣被害と害獣駆除の実状を聞く。

2021年:コロナウイルスに感染、初めて自分の「死」を身近に感じ、
自分の生きた証(形見)を残すためアートを制作することを決意する。

かつての「神の使い」と「害獣」のギャップ(格差)に衝撃を受け、害獣として死んだ鹿を、また人々から大事にされる「アート(=現代版神の使い)」に昇華させ、供養したいと想い、鹿のツノをモチーフに鹿の生きた証を残す作品を作り始める。

作品を通して、
・猟師からツノを直接仕入れることで、猟師の新しい収入源の確保
・廃棄される部分を利用してのアップサイクル
・害獣駆除の実状の認知と重要性の啓蒙
などにつながる。

【展示歴(グループ展)】

2021年11月 デザインフェスタvol.54(東京 ビッグサイト)
2022年5月 SICF23(東京 スパイラル)
2022年6月 Dimension 2022(東京 GALLERY AND LINKS 81)
2022年8月 Independent Tokyo2022(東京 ポートシティ竹芝)
2022年8月 いきものフェス(東京 産業貿易センター台東館)

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