菊池 顕生

self-assembled consciousness

Title:self-assembled consciousness

Material:デジタルプリント

 社会性昆虫の自己組織化によって建設する構造を観察していると、その中に人と人が繋がっているような形が見えた。もちろんその構造はパレイドリアによって、巣の骨組みが人の形に見えだだけであることは言うまでもなく、本作品は昆虫の群れが集団で建設した構造でしかない。

しかし人が生み出す怪獣の本質も、社会性昆虫の建設する構造と似たようなものかもしれない。水爆や環境破壊、いじめといった様々な現象に対して人が抱く負の感情とそれらを問題提起する手段として「怪獣」という表現は用いられてきた。特撮映画が作製される以前も、本が無かった時代にでさえ神話には怪物が存在し人々の心を脅かしてきた。つまり人が抱く負の集合意識を具現化したものと言える。人という社会性動物が環境に適応し、生存するために進化の中で獲得した形質の産物、それが怪獣の正体なのではないだろうか。

Artist:菊池 顕生 Kensei Kikuchi