コウ クヨウ

Title:MONSTER-PHOBIA

Material:デジタルプリント、パネル

人々は古くより手に負えない自然の神秘をモンスターとして表す。人類が自身の恐怖を怪物として視覚化するのは、その恐怖を体験するためだけでなく、それ以上に理性の力を確認するためだと思います。 多くの人が恐怖をマイナスな感情として認識しているが、それは勘違いとしか言いようがありません。実際恐怖ほど有用な感情はないと言えます。恐怖は我々を危険から遠ざけるだけでなく、時には芸術創作の動機としても重要な働きを持っています。特定の自然対象や生物に対する恐怖は人類が進化の過程で得た必要不可欠な感情ではあるが、現代社会において、多くの人が過剰な恐怖で病気になるのも事実です。有用な感情が逆にモンスターになり、生活に波瀾を巻き起こし、時には人を危険なパニック状態に陥れることも希ではありません。恐怖症になった瞬間、人は一匹のモンスターを抱えるだとしたら、世界は既に恐怖症という形のないモンスターに満ち溢れていると言えます。今回自分は恐怖症という形のないモンスターに焦点をあて、六枚のイラストを作りました。この作品を機に、恐怖という感情を再認識し、恐怖症、ひいては人類と自然の関係について改めて考えて貰えたら幸いと存じます。

Artist:コウ クヨウ KANG XUYANG

例えば日常でよく目にするものであっても、見方を変えれば、その「形」は一変する。そして目に見えない概念上の存在に「形」を与えた瞬間、その本質が顕になる。この方針に従い、私は病気のがんや恐怖などのモチーフを手に取り、イラストレーションでその形を切り出してきた。形のないものに対して、言葉や概念でそれを説明できるならそれでいいと思う方もいるであろう。しかし、概念の意味をよく理解したうえ、それに形を与えたら案外隠された本質が見えてくるはずである。自分の作品がそのような「発見」を作り出すきっかけになるように、日々努めている。