Title:光陰
Material:木製パネル、天竺綿布、岩絵具、盛り上げ胡粉、セラミックスタッコ、顔料、墨
恐竜が地球を支配していた時代があった。
恐竜の生きた目、岩盤を掴む動作を描くことで、その様子を表した。
岩盤の中に残る化石、錆びれた時計の中に光る透明な針は、それぞれ時代と共に闘い、文明を謳歌し、生き抜いた証だ。
かつては力を持ったものも、時の流れと共に朽ちていく。
テントは生きる者の居場所であり、守ってくれる者の象徴である。
マンモスは自身の力では、どうにもならないものへの怒りを表わす。
雪山は綺麗だが険しく、厳しいもの。
溶岩は迫り来る不安の象徴だ。
天の川や赤ん坊は未来への希望を表すが、不安に押しつぶされそうになっている。
それぞれの時代を歩んだものの不安や希望、時の流れ、歴史の動きそのものを、「怪獣(モンスター)」として描いた。
Artist:岡部 仁美 Hitomi Okabe
今まで自然と人間をテーマにした作品を制作してきたが、地元を襲った台風がきっかけで、より強くそれを意識して描くようになった。
外は警告のアナウンスが鳴り響き、私は不安に駆られながら窓から様子を覗き込んでいた。
田んぼや畑に囲まれ、幾つかの川が流れる私の故郷は、川が決壊したら沢山の家が浸水する事になる。 私自身の家も川からそう遠くない。水かさが増すごとに、避難を促す放送が叫び声へと変わっていった。
よくなぜ避難をしないのか、等とメディアや SNS 上で言われるが、まさか自分達の住む場所が避難対象になるとは思わず、何時逃げるか、かえって移動したことで危険はないのか、家にいた方が安心ではないか、いざ自分がそういった立場に追い込まれると、どのような行動を取るべきか難しく思えた。
後に市内で多くの家の被害や被災者が出たとの情報を得た。
自然と共に暮らす以上、自然をよく理解し、対話していく事が必要である。これからも私達が自然とどう向き合って生きていくかという問いを、絵で表現できたらと思う。
1993 埼玉県東松山市生まれ
2016 京都造形芸術大学・日本画学科卒業
京都造形芸術大学大学院修士課程・ペインティング領域に入学
2018 京都造形芸術大学大学院修了
<展示歴>
2016 「大山佳織×岡部仁美 二人展〜水鏡〜」
ギャラリー恵風 / 京都
2018 「日本画グループ展・京都造形芸術大学〜糸を手繰るように〜」
鵬休堂ギャラリー / 京都 阪神梅田本店 / 大阪
「画心展」 佐藤美術館 / 東京
「画心展・小品展」 東京九段耀画廊 / 東京
2020 「月刊美術・美術新人賞デビュー2020」 入選
藤ヰ画廊 / 東京
2022 「MONSTER Exhibition 新しい怪獣展 2021」 入選
渋谷ヒカリエ 8/COURT /東京
Galerie Grand E’terna / フランス・パリ
「Brain Brunn ART AWARD 2022展」 入選
Brain Brunn GALLERY / 東京