Title:Spawn
Material:紙、小麦粉、卵、墨汁、プラスチックグルー、プラスチックフィギュア、アクリル
”何か奇妙なものがそこに巣食っていて、それが違和感と共に拡大していく様子”
怪獣(モンスター)は人間が作り上げたイメージ・創造物で、(多くの場合は人間以外の)様々な生物の外見からそのビジュアルが作られていますが、今回の作品では「何か大きな怪獣的なものの一部」が繁殖していく過程で「(小さな)人間を生み出しながら蔓延っていく」様子を作りました。近寄ってよく見ると小さな人間のフィギュアが放卵されたかのように散らばっています。
Artist:Himeka Murai
東京都葛飾区出身。グラフィックデザインを学ぶためにニューヨークに行くが、パンデミックになり、現地では家にこもりきりでリモート留学する羽目に。留学生活は全てコンピュータ上で送る傍ら、ニューヨークのアートシーンに刺激され、自己流で絵画制作を始める。様々なことがデジタルに制限されてしまった反動で、自分の手で物理的に制作をする楽しさや「物質的な快楽」を感じ、作品制作にのめり込む。
紙、卵、小麦粉、野菜、香辛料など、身の回りで手軽に手に入る天然素材とグルーガンを使用して半立体の絵画を制作している。生活してきた二つの都市、東京とニューヨークでは自然物と人工物の混ざり合った吹き溜りのようなものがあちこちにあった。そうした自然物と人工物の混ざり合いの情景に惹かれていたこともあり、直感的に有機的・自然らしいフォルムを構成する中で人工素材のグルーガン(プラスティック)を使用するようになった。多くの作品では天然の素材で構築された画面に人工物(グルーガン)をのせ、天然素材と一体化して息をしている様子を作っている。作品制作の過程は、ペーパーマルシェ技法でキャンバスを覆い、偶発的な立体性を持たせてから1日乾燥させて出来上がった形にグルーガンを使ったり、色や模様などをのせていく、というもの。記憶やイメージなどから直感的に画面構築していく中で、抽象的かつ有機的な見た目・質感が、どのように人間の心情を写しうるかという心理的な模索をしている。
展覧会
2021年12月 個展『Nostalgic Magic』 (埼玉県東大宮)
2022年6月 4人展『Relief』 (ニューヨーク・チェルシー)
2022年7月 グループ展『DECAGON』 (ニューヨーク・ブッシュウィック)
略歴
2019年 国際基督教大学教養学部卒業
2021年 ニューヨーク州立ファッション工科大学コミュニケーションデザイン学科卒業
2021年〜現在 ニューヨーク・ブルックリンのアートスタジオでデザイナー兼アシスタントとして勤務しながら自分の作品制作をしている。
web:himekamurai.com
Instagram:https://www.instagram.com/himeka_murai/