#ファインダー越しのマイガール
実写写真, 3DCG
この作品は、世の男性カメラマンと被写体である女性の怪物性を浮き彫りにした作品である。
デジタル技術が発達して誰でも簡単に高解像度の写真を無限枚数連写し、パソコンを使って編集が出来る現代では、人物を撮影するという行為の意味はフィルム時代とは違ってくるのでは無いだろうか。
Netflixにブラックミラーというオムニバスドラマがある。その中で、「宇宙船カリスター号」という作品があるのだが、その作品は主人公が憎んでいる人物のDNAを採取し、自分が支配者である仮想空間でその人物のデジタルクローンを作り上げる。というストーリーである。
高解像度のデジタル一眼レフで人の写真を撮影する事は、宇宙船カリスター号のよう に、被写体のDNAを採取する事に等しい行為ではないだろうか。
そしてパソコンを使ってそのDNAを加工する事は、仮想空間に被写体のデジタルクローンを作りだすのと同じ事なのだ。そしてデジタルクローンはカメラマンの完全支配に置かれている。
このようにカメラの持つ力の意味が変ってきた現代、世の中にはアマチュアカメラマンと呼ばれる人々が溢れかえっている。
アマチュアカメラマンに向かってポーズを取るセクシーなコスプレイヤーも、カメラをナンパの道具になり下げ、女性のDNAを一生懸命に採取している男達の姿も実に滑稽だ。その両者怪物と呼ぶに相応しい。
そして、カメラマンはカメラの捉えた細かな肌の質感に加工を施し、被写体を改造し「#ファインダー越しの私の世界」と行った具合にSNSにアッ
プロードしてプロにでもなった気分になるわけだが、私はそれら一連の行為に隠された現実を可視化した。
私がまな板の上に乗せたいと思った女性をセレクトし、一眼レフでくまなく被写体を撮影。超高解像度なDNAを持ってしてその女性の持つ魅力、エネルギー、内面性、狂気を私の手の内で花開けとばかりに改造手術したのである。
世のアマチュアカメラマン諸君のしている事は、程度や技術の差はあれど私のしている事と変らない。それは仮想空間でデジタルクローンをバラバラにして怪人にする事と何ら違いは無いのだ。
久保 ゆうき
2016年3月 多摩美術大学情報デザイン学科卒業
2016年8月 新卒で入社した会社を退社
Web http://itoenitoen1812.sakura.ne.jp/