佐藤 弘隆


時空概念・裏切り(さらなる期待)
(キャンバス、油彩、金粉)
切れ目の入ったモノクローム絵画で知られる20世紀イタリアの芸術家、ルーチョ・フォンタナの《空間概念・期待》シリーズをサンプリングし、日本の伝統的な修繕技法「金継ぎ」で切り傷を修復しました。本来否定的ニュアンスをもつ傷跡ですが、金継ぎにおいては「景色」として肯定化され、楽しまれます。それは「不足」の中に美を見出す日本固有の美意識に根ざしています。
私はフォンタナの”切り裂き”を怪獣の爪痕に見立て、「破壊」や「攻撃性」を象徴するイメージとして借用しました。戦争や自然災害—。世界は破壊や傷跡に満ちています。度重なる震災、隣国から飛んでくるミサイル、世界中で起こるテロリズム。傷跡は絶えず増殖しています。金の修復痕は、そうした「破壊」を克服する肯定的な精神性を反映しています。



佐藤 弘隆 Hirotaka Sato
1993年新潟生まれ。
富山大学芸術文化学部デザイン情報コース卒業。
富山大学大学院芸術文化学研究科修士課程在学。
イタズラに近い実践を通して、他人の身体や行為に“寄生”し、内在する物語を変化させる作品を制作する。時間・空間を超えた「他者」との関わりについて探求している。コンピュータや電子機器を用いた動的な表現から、絵画や彫刻など古典的で静的な表現まで横断的に扱っている。

2016年 「富山大学芸術文化学部 卒業・修了制作展 GEIBUN8」高岡市美術館 / 富山
「金屋町楽市inさまのこ」藤田家 / 富山
「ART SESSION 2016」 Kawasaki Factory / 神奈川
2017年 「院生展」geibungallery / 富山
「池袋アートギャザリング IAG AWARDS 2017」 準入選
Web http://sato-hirotaka.com