中田 千彦

Monsterous Moment in Architecture

Monsterous Moment in Architecture

311以降に私たちの眼前に現れた多様な理不尽や不遇も、これまでの業によるものであるとすれば、長い歴史を持つ建築においても、その業は形あるものとしてあらわされる存在となったときには、怪物のような姿をした様式や構造のコラージュとなる。1/100の縮尺で建築模型として制作している。

この習作は建築模型の形式を用いた即興的な空間構成である。縮尺を1/100と定め、模型材料であるチップボードを自在に切断し、空間構成を行なっていく。何を作るかは決めずに、大きく雑駁な目標を定めて「建築」を作ることも念頭に作業をすすめる。私自身が見聞した様々な建築の要素が融合し、反応し、コラージュとなって三次元空間に立ち上がる。機能や目的があるわけではなく、ただそこにある存在としての建築は、理不尽な脅威や驚愕的な構造も取り込んで立ちはだかる。311以降に力を注いだ様々な活動において、私自身がずっと目を背けていたこうした不遜な表象を、この展覧会をきっかけとして形づくることへの挑戦である。

中田 千彦

中田 千彦東京都出身
暁星高校卒業
東京藝術大学美術学部建築科卒業
コロンビア大学建築・都市・歴史保存大学院 建築修士課程修了 建築修士
東京藝術大学美術研究科博士後期課程退学
建築家