鬼一(おにいち)

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「鬼」は、中国では目に見えない存在(魂、亡霊)という意味を持つ。
中国から伝来したこの「鬼」は、日本で独自の進化を遂げていく。
目には見えない存在は、様々な災厄(天災、疫病)の根源と考えられ、その強力な力は畏怖、畏敬の念へと変化し、信仰の対象ともなっていく。                      
そして日本古来の山岳信仰や神道、さらに仏教、陰陽道などと融合し、次第に「鬼」は視覚化され、現在の「鬼」が形作られていく。
鬼面鬼瓦は、「鬼」を祀ることで、その強力な霊力を逆に利用し、魔除けとして屋根に飾ったといわれています。
日本の民話や祭事、能の謡曲など様々な場面に登場する「鬼」は、時には悲哀で孤独であったり、また可笑しく滑稽である事もある。
日本語の中にも「鬼」を使った言葉が非常に多く存在している。
「鬼」は、強力な力を持つ無慈悲な存在とは別に、人間らしい情のある側面も持っている。
これは、我々人間を投影した存在であり、我々から生み出された自身の一部であるからであろう。
「鬼」は日本文化、日本人に深く根差した存在であり、見えるものと見えざるものとを繋ぐ存在であり、我々自身でもある。


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鬼一(おにいち)
鬼師(鬼瓦職人)鬼瓦、陶彫、オブジェなど制作。

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