三輪 裕治

miwa


焼け果てた森林に再生の命を吹き込む山の使者、ミドリノツカイ。
自然の再生力の強さ、その自然サイクルの一部を、モンスターという存在によって具現化しました。
素材は全て和紙です。

ある日、身近な場所で山火事が起こる。
人だかり、ヘリコプターの音、浮ついたSNS、消防のサイレン、交通渋滞、煙。
風によって火は動きを変え、その力は強さを増す。
燃え盛ったその後は、黒く焼け焦げた木々と灰色の地面。
鳥の鳴き声も聞こえず、ひっそりとした山。
その静けさは人を怨むかのような沈黙のメッセージに聞こえた。
人間の不注意や興味本位の行動により、緑の中の生命体は無残に殺傷され、生活の場を引きちぎられ、不毛の地と化す。
その軽率な行動に対しミドリノツカイは、激しい憎悪と怒りを抱いているが、自分の仕事は目の前の緑を再構築するため、黙々と命を吹き込むこと。
そして、自身もその再生してゆく緑の中で緑と共に生き、一方では人間社会の中で人間とも共存している。
その体は草木の色によって染まり、その命は緑の中から育まれている。
人間が思うよりはるかに自然は強く、激しく、生命力に満ち溢れている。
その力強い自然の循環の一つに、ミドリノツカイは組み込まれ、存在します。
それは私達・人間の願いや思いかもしれないし、本当に自然の中に存在しているものかもしれません。


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三輪 裕治
日本人には馴染み深い和紙を草木で染め、日常で感じ得る根底に渦めく心の叫びを、立体・平面作品で表現しております。

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