岩田 明


花骸(hanamukuro)
樹脂粘土・紙ボード・竹材

小野小町はかつて美と才を謳われ、深草小将に百夜通いをさせる驕慢さもあった。その小町が老婆となって落ちぶれさまよい、疲れ果てて尊い卒塔婆に腰掛けてしまう。それでも「我も賤しき埋木なれども。心の花のまだ有れば」と矜持を見せる。美しさを人々に称賛され愛された花は散る。青青と繁り生気を誇った草木は朽ちて腐る。やがて土に還り、また新たな生命をはぐくむ。草木国土悉皆成仏。草木にも仏性は宿るのだ。花の骸は悲しくていまだ美しい。それはかつての記憶と未来への仕度を内包するからなのだ。



岩田 明
アートディレクター/2015-2018 Monster Exhibition出展。
一般社団法人二科会デザイン部常務理事、公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会会員、クリエイティブハウスグロウ代表。

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